共同親権は子供の連れ去りを防げる?離婚と子供の幸せを考える

こんにちは。ゆりです。

いつも読んでくださってありがとうございます。

 

男性

突然、妻が子どもを連れて出ていってしまった…

こんな話を聞いたことはありませんか?

近年、子どもの連れ去り問題は深刻化しています。

 

離婚に際して子どもの親権をどちらが持つかについては、悩ましい問題です。

 

世界では多くの国が共同親権を認めており、離婚後も両親が子どもの養育に関わっています。

一方日本では、どちらかの親が養育に関わる単独親権のみでした。

この単独親権が、子どもの連れ去りの大きな要因になっています。

 

ちなみに、「連れ去り」を英訳すると「abduction」となります。

これは「拉致」と訳す方が一般的です。

つまり、連れ去りという行為は、拉致に匹敵する悪質な行為なのです。

 

連れ去りは、連れ去られた側の配偶者はもちろん、子どもにも深刻な影響を及ぼします。

日本でも離婚後の子どもの親権の改正案が閣議決定され、2026年までに共同親権制度が導入される見込みとなりました。

 

今回は、共同親権となることで子どもの連れ去りを防げるのか、実例を交えながら、そのメリット・デメリットについてお伝えします。

ご自身の状況を冷静に判断して、悔いのない選択をしましょう。

この記事を読んでいただければ、あなたには次のことがわかります。

 

  • 子どもの連れ去り問題が子どもに与える影響とは?
  • 共同親権が子どもの連れ去り問題にもたらすメリット・デメリット
  • 離婚回避が子どもにとってベストである理由

単独親権と共同親権の比較

離婚後の親権を一人の親が持つことを単独親権、両親揃って親権を持つことを共同親権といいます。

共同親権は、離婚後も両親揃って子どもに関われるため、親子の絆を保つことが可能です。

ただし、元パートナーとの関係性が悪化している場合、二人揃って子どもの養育に関わることは難しくなるかもしれません。

それぞれのメリット・デメリットについてみていきましょう。

メリット デメリット
単独親権
  • 子どもの教育や生活に関する決定が素早くできる
  • 生活基盤が築きやすい
  • 親権を失った親とは疎遠になる
  • 親権争いに発展しやすく、子どもの連れ去りの原因となりやすい
共同親権
  • 両親が共同で関わるため子どもにとって安心感がある
  • 親権争いが起こりにくい
  • 両親の意見が対立すると子どもの生活等に関する決定が遅くなる
  • DVやモラハラがある場合、離婚後も被害を受ける可能性がある

忘れてならないことは、親権は子どもが安心して生活できるようにするためのものです。

単独親権、共同親権のどちらを選ぶにしても、子どもの養育によい環境を与えられるような配慮が必要です。

単独親権と共同親権については、こちらで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

>>共同親権と単独親権の違いを徹底比較!メリット・デメリットも解説

 

子どもの連れ去り問題の深刻化

単独親権の日本では、親権争いが起こりやすい状況です。

親権を失う恐れや、面会できなくなるのではという不安が、連れ去り問題を深刻化させています。

 

ここでは、子どもの連れ去りが子どもに与える心理的影響とその背景にあるものについて解説します。

 子どもの連れ去りが子どもに与える心理的な影響とは

子どもの連れ去りは、子どもの心に深い傷を残します。

突然、環境が変わったり、親に会えなくなったりすることは、子どもにとって大きなストレスとなるからです。

しかも、この心理的ストレスは、大人になっても子どもの心に影を落とします。

子どもの心への影響

【安心感の喪失】
家庭が安全ではないと感じた経験があると、大人になってからも世の中は不安定だと思い込んでしまう

【信頼の破壊】
信頼していた親に裏切られた体験は、人を信頼できない大人に成長する可能性がある

【自己肯定感が下がる】
自分は価値のない愛されない存在と思い、感情が不安定になる

連れ去られた先で、DVや虐待、親の新しいパートナーとの関係などに悩む子どもも少なくありません。

 子どもの連れ去りの背景にあるもの

連れ去りをする親の心の中には、どのような思いがあるのでしょうか。

  • 子どもと一緒にいたい
  • 相手に渡したくない
  • DVや虐待から守りたい
  • 相手を悲しませて報復したい

    元パートナーには渡したくない、子どもを自分の元に置きたいという強い思いや、相手への憎しみが動機としてあげられます。

    DVや虐待があった場合など、子どもを守りたい一心で連れ去りをしてしまうこともあります。

     

    いずれにしても、子どもは親に従うしかなく、子どもの意思は無視されていると言わざるを得ません。

     

    子どもの連れ去りが引き起こす3つの問題点

    子どもの連れ去りは、多くの問題を引き起こします。

    経済的な問題や教育への影響、親子の絆にも亀裂が入る可能性があります。

    主な問題点としては次の3つです。

    • 経済的問題
    • 教育への影響
    • 親子関係への影響

    離婚を考える前に、それぞれのリスクについて把握しておきましょう。

    経済的問題

    子どもの連れ去りによって起こる経済的問題をあげてみましょう。

    • 生活費の負担
    • 収入の減少
    • 裁判費用

     

    子どもを連れ去られた場合は、精神的なショックから仕事が続けられなくなる可能性があります。

    家族のために買った家のローンが残っている場合は、たとえ1人になっても払い続けなければなりません。

    また、子どもの連れ去りに関する裁判費用が発生する可能性もあります。

     

    子どもを連れ去った場合は、子どもの養育のために仕事を変えることで、収入が減ってしまうことがあります。

    今まで夫婦で分担してきた生活費も、一人で賄わなければなりません。

     

    連れ去る方法によっては「未年者略取及び誘拐」として法律に触れる場合があります。

    有罪の場合は仕事や社会的信用を失う可能性があり、結果的に、子どもと会えなくなってしまうかもしれません。

    教育への影響

    子どもにとって急な環境の変化は大きなストレスとなります。

    昨日まで通っていた学校や友だちを失ってしまう連れ去りは、子どもの孤立感を深めます。

    転校や環境の変化は、成績不振の原因になりかねません。

    新しい学校になじめなければ、家にも学校にも居場所を失う可能性もあります。

    親子関係への影響

    いきなり連れ去られたり、無理やり連れ去られたりした体験は、子どもの心を深く傷つけます。

    親には親の事情があったとしても、子どもはどのように感じているのかあげてみましょう。

    • 同意もなく連れ去られてショックだった(自分の意思を聞いてもらえない)
    • 片方の親と突然会えなくなり寂しい
    • 引き離された親の悪口を聞かされて辛い
    • 新しい家族になじめなくて孤独を感じる

    連れ去りは、子どもの自己肯定感を下げる原因や、親子断絶の原因になります。

    引き離された親に対しても、疎遠になってしまうことで、寂しさを抱え続けることもあります。

     

    連れ去った側は、一切の関係を断ちたいと思ってのことかもしれませんが、それは夫婦間の問題であり、子どもがそれを望んでいるかどうかは別問題です。

    子どもと生きていきたい思いで連れ去ったとしても、子どもにとっては家庭が壊れたという辛いできごとになっているかもしれません。

     

    DVやモラハラなど子どもにも危害が及ぶような深刻な理由がない限り、親と引き離されることは、子どもにとって大きな悲しみとなります。

    そして、この悲しみは癒えることなく、子どもの将来にも影響することを忘れてはなりません。

     

    世界の動き:共同親権が主流の理由

    日本ではこれから導入される見込みの共同親権ですが、世界では共同親権が主流となっています。

    その根底にあるものは「両親が養育に関わることが子どものためになる」という考え方です。

    そのために、子どもが精神的・物質的に安定した環境で育つよう、さまざまな配慮がされています。

     

    子どもの教育・医療、財産管理などについては、離婚前に夫婦間で細かく決められます。

    何より安心なのは、両親それぞれがどのくらいの頻度で面会や休暇を過ごすかなど、具体的に決められていることです。

    一度決められると、どちらかの一方的な感情で面会を拒否することはできません。

     

    子どもと同居する親は、引っ越す際にも元パートナーに連絡する必要があり、子どもと引き離されることのないよう配慮されています。

    離婚した両親が、子どもの結婚式に揃って出席することも珍しくありません。

     

    しかし、ここで心配になってくるのは、DVや虐待をする親とも関係が続くという点ですが、以下のような対策がとられています。

    • 加害親の教育プログラム義務付け
    • 監視付での加害親との面会交流

    このような対策をとっていても、あまりに状況が悪い場合は、親権を失うこともあります。

     

    日本の単独親権の現状と課題

    それでは、現在の日本の単独親権制度の問題点をあげてみましょう。

    • 親権争いが起こりやすい
    • 親権を得られなかった親は子どもと疎遠になりやすい
    • 連れ去りが発生した場合の法的手続きに時間がかかる

    現在の単独親権では、親権を失った親は子どもと関わる機会が極端に減ってしまうため、子どもの連れ去りが頻発しやすい状況だといえます。

     

    親が子どもを取り戻すには、家庭裁判所に「子の引き渡し調停」や「子の監護者指定調停」の申し立てをする必要があります。

    これらの調停は複雑で時間がかかるため、子どもは不安定な状況におかれたままです。

    連れ去られた子どもは、長いこと状況を見守るしかありません。

    親に従うしかない子どもにとっても共同親権は、親権争いに巻き込まれないための解決策の一つになるでしょう。

     

    親権争いが起こりにくくなることが期待される共同親権ですが、導入にあたって、どのような意見があるのかをみていきましょう。

    共同親権導入の賛成意見

    共同親権に賛成する意見としては次のようなものがあります。

    • 子どもの福祉が最優先される
    • 親権争いが減る
    • 両親と関われるため子どもが安定した環境で暮らせる

    共同親権の場合、子どもの養育にどのように関わるのか、その量や頻度はどうするかなど、離婚前に細かく決める必要があります。

    明確に取り決めを行うことで、のちのちのトラブルを防ぐことができます。

    何よりも、両親に愛されて育つ環境は、子どもの育ちにとても大切です。

    共同親権導入の反対意見

    共同親権に反対する意見としては、次のようなものがあります。

    • DVや虐待、モラハラが絡む場合、被害を受け続けるリスクがある
    • 親同士の対立が続く場合、子どもが不安定な状況におかれる
    • DVがあっても親同士の関係が継続する

    DVや虐待のような子どもにとって不利益となるような場合は、監視や教育プログラムなど、子どもを守る体制が必要です。

    また、両親が子どもに関する決定権を共に持つということは、つねに親同士が話し合わなければなりません。

    意見が食い違うと決定までに時間がかかり、子どもが不安定な状況に追い込まれることもあります。

     

     

    共同親権導入への意見をご紹介しました。

    共同親権は、子どもとの絆を保てるため、連れ去りを防ぐ効果が期待できます。

    一方で、DVや虐待など心身に危害が及ぶ夫婦関係だった場合、共同親権は危険なものとなる可能性があります。

    どちらの制度も万能ではなく、選択する際には慎重に考えなければなりません。

     

    具体的な事例:福原愛さんのケースから考える

    子どもの連れ去りといえば、福原愛さんが台湾にいる長男を元夫に無断で連れ帰った事件が思い起こされます。

    福原さんは子どもの面会交流の名目で長男と日本へ帰国し、そのまま元夫に返すことなく連絡を断ちました。

    これに対し、東京家庭裁判所は『子の引き渡し命令』を出しています。

     

    日本では連れ去ったとしても、元のパートナーに戻すという命令が出るのは稀のようですが、福原さんのケースには厳しい審判が下りました。

    理由としては3つ考えられます。

    • 台湾では共同親権であること
    • 台湾で離婚が成立し、子どもも台湾で生活していること
    • 日本でも面会交流の約束を破る行為には厳しい処分が下る場合があること

     

    台湾は共同親権制度であり、福原さんにも親権があります。

    それでも子どもを連れ去ってしまった福原さんには、子どもを返したくないと思う何かがあったのかもしれません。

    しかし、台湾で離婚が成立し台湾で生活している子どもは、日本で単独親権を申し立てることはできません。

     

    一方、元夫の江さんは刑事告訴までして闘う姿勢を見せていましたが、福原さん側が和解を申し出て解決しました。

     

    このように共同親権であっても、夫婦間の意思疎通がうまくいかない場合、親権争いのようなことが起こってしまう可能性があります。

    しかし、共同親権であったからこそ、お互いの気持ちの落としどころが見つけやすかったのではないかとも考えられます。

    もし、江さんの単独親権だったとしたら、事態はもっと複雑だったかもしれません。

     

    夫婦それぞれの思いがあったとしても、共同親権は子どもにとって安定した環境を作りやすいといえるでしょう。

     

    子どもの視点から見た共同親権についてはこちらの記事もぜひご覧ください。

    >>父親から共同親権の提案はあり⁈離婚を回避して子供との絆を保つために知っておくべきポイントは?

     

    離婚回避が最善の選択である理由

    離婚は、子どもにとって「親に捨てられる」という感情を抱かせます。

    子どもは離婚前から、両親の不和を感じ取っているため、かなりのストレスがかかっています。

    さらに離婚に発展した場合、引越しや姓の変更、経済的な困窮などの環境変化に抗うこともできません。

    父母の離婚が子の生育に及ぼす影響に関する心理学的知見について』家族法制部会第5回会議によると、以下のような傾向がみられるようです。

    • 幼少期:摂食・睡眠に問題がある、排泄の退行、言語スキルの後退 
    • 4歳~低学年:和解幻想、自己卑下、非同居の親に見捨てられた感情を持つ、不登校
    • 高学年以降:状況理解するも受容できない、非行、引きこもり、薬物使用、学校不適応

    離婚という現実は子どもにとって大きな悲しみですが、それ以上に両親の不和が自己肯定感を低下させます。

    離婚しないまでもパートナーとの関係がうまくいかない状況は、少なからず子どもに影響します。

     

    子どもにとっては、どちらの親も大切であることに変わりはありません。

    このように、子どもの将来にわたって影響をあたえてしまう離婚は、できる限り回避したいものです。

    お互いに協力し合って家庭を立て直し、子育てをしようとする姿を見せていくことが、子どもの心を安定させていくものとなるでしょう。

     

    あなたと子どもにとって幸せな選択とは

    今回は以下のことをお伝えしました。

    • 単独親権と共同親権の比較
    • 共同親権制度を導入している世界の実情
    • 子どもの連れ去り問題の深刻化
    • 子どもの連れ去りが子どもに与える影響

     共同親権は、両親が協力して子どもの養育に関わることで、親権争いによる連れ去りを防ぐ効果が期待できます。

    しかし、共同親権は万能ではありません。

    特に、DVやモラハラが絡む場合、被害者が加害者と連絡を取り続ける必要があり、被害が続くリスクがあります。

    また、親同士の対立が続いている場合は意思決定が難航し、子どもにとって不安定な環境が長引く可能性もあります。

    共同親権の導入には、それぞれの離婚のケースに対応できる法整備が必要になるでしょう。

     

    しかし、子どもにとっては離婚回避こそが最も望ましい解決策です。

    両親が協力して子育てに取り組む姿に、子どもは一番の幸せを感じることでしょう。

     

    子どもの将来にまで影響を及ぼす心の傷を作らないよう、後悔のない選択をしてください。

     

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。

       

      追伸

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