離婚のきっかけ 第五章 Re婚

 

こんにちは。ゆりです。

いつも読んでくださってありがとうございます。

 

第四章では、浮気がばれてもまったく反省していないうえに、無理やり私を抱こうとする夫の無神経さについてお伝えしました。

 

離婚のきっかけ第四章 仮面の剥がれた日

 

仮面の下の本物の素顔…自分の欲望にへらへら食らいつく醜い素顔に、私はやっと離婚を決心しました。

ここから私の戦いが始まりました。

 

 

「過去」と「真実」

 

夫をベッドから蹴り落とした翌日の朝、夫に今までの浮気のことを洗いざらい話させました。

もう顔も見たくない心境でしたが、真実を知らないまま別れるのは悔しすぎますから。

 

初めて私に殴る蹴るされた夫は、さすがに最初は神妙な顔をしていました。

 

でも私が離婚を決意しているなんて思ってもいない夫は、もともとさして罪悪感も感じていませんから、例によって「どうせ全部遊びだから心配しないでね」と前置きしつつ、まるで手柄話のように、話しだしました。

 

多少予想はしていましたが、まだ私たちが付き合っている頃から、彼の浮気癖は始まっていました。

いえ、きっと私の前に付き合ってきた女性たちの時も、同じようなものだったのでしょう。

 

「僕がもてるからゆりも心配になるよね、ごめんね。」とピントがずれ過ぎている謝罪までありました。

 

「ゆりがこんなに傷ついているのなら、もう絶対やらないと誓うよ。過去は消せないけど未来は一緒に作っていこうよ。」

そうにっこり笑って手を握ろうとするので、吐き気がして振り払いました。

すると、すっといつもの冷たい顔になり、「全部話したから今度こそもうこれでおしまいにしようね。」と仕事に行ってしまいました。

 

人は反省すれば学習する。この人にそんなことを期待していた過去の自分をぶん殴りたい気分でした。

一刻も早くこの男と別れよう。改めてそう決意しました。

 

この時、自分でも、もっと落ち込むかと思っていましたが、逆でした。

子どもと三人で新しい人生をやり直そうと思うと、体の内側からめらめらと勇気と力が湧いてくるような気がしました。

 

後ろばかり見ていたら、守るものも守れない。

だって私は母親だから。

 

 

「親権」と「復職」

 

私は息子二人を連れて実家に帰りました。

帰る途中に区役所によって、離婚届けの用紙をもらってきました。

 

実家の両親には全てを話しました。

最初はとまどい、なんとか思いとどまるよう私を説得していた母たちですが、最終的にはすべて理解してくれて、もう何も言わずに私たちを受け入れてくれました。

 

夫には、しばらく実家に帰る、とだけ書いた置手紙を残してきました。

さすがの無神経な夫もショックだったようで、「ゆり、ごめんね。いつでも迎えに行くよ。」とLINEを何度も寄越してきましたが、まだ私が本気であることに気付いていませんでした。

 

それを証拠に、やがて呑気に「息子たちは元気?」「早く機嫌直して帰ってきてね」「今度の休みにはどこか出かけようよ」と絵文字付きで連絡をしてきました。

全部既読スルーしましたが。

 

この男は本当にみっともない。

もはや私にはそんな感想くらいしかありませんでした。

 

 

離婚するにあたり、まずは何が何でも親権を取る必要があります。

離婚届けには、親権を記入する欄がありますので、ここには絶対に自分の名前を記入しなければなりません。

 

そのためには、金銭的に問題がないことを示す必要があります。

私は看護師の仕事に復帰するため、あちこちにコンタクトを取り、すぐに知人の病院に職を得ました。

私が今まで培ってきた実績と心理カウンセラーとしての経験がとても役に立ちました。

 

かつて、出産のために仕事を辞めた時、夫は「ゆりなら復職したい時にすぐに仕事見つかるよ」と言ってくれていましたが、それだけは合っていました。最も今にして思えば、彼は何も考えず口先だけでペラペラ喋っていただけだったのでしょうが。

離婚のきっかけ 第一章  初めは小さなほころびだった

 

 

復職は三か月後に決まりました。

保育園にはまだ入れられませんでしたが、当分の間は母に見てもらえればなんとかなります。

しばらくは実家にいて、収入と環境が落ち着いたら、アパートを探すことにしました。

子どもたちにはまだ何も話していませんが、父親のいないことには慣れているし、おばあちゃんと毎日遊べて喜んでいます。

 

周辺をしっかり固めてから、ついに夫に離婚を切り出しました。

 

 

「離婚届」と「仮面の下」

 

日曜日。私が帰ってきたので呑気に喜んでいる夫に、何も言わずに離婚届けを渡しました。

 

「え?」

 

呆気にとられている夫に、出来るだけ冷静に短く伝えました。

浮気癖が許せないこと。

反省しているふりをして全く反省していないのが許せないこと。

私のことをまるで理解しようとしないのが許せないこと。

もうあなたとは暮らせない。

 

 

すると夫が言いました。

 

「ゆり、嫉妬しているの?」

 

は?

 

「だから言ったでしょ。全部遊びで僕が好きなのはゆりだけだから、て。他の女たちに嫉妬なんてしなくても大丈夫だよ。」

 

‥‥この男はどこまでズレているのだろう。

 

「ゆり、冷静になろうよ。ゆりが子どもにかかりっきりだから、さみしかっただけだよ。もっと僕に優しくしてくれればそんなことしなかったんだから。」

 

いやいや、あなたは私が出産する前から浮気していたでしょ。

 

「だってその頃は、ゆりも仕事が忙しくてあまり会えなかったじゃない。」

 

ああそうですか。それも私のせいなんですね。さすがマザコン野郎らしい言葉です。

 

「第一、子どもたちから父親を奪うつもり?母子家庭にしようなんて本気で思っているの?」

 

はい来た。定型文みたいな脅し文句。

残念ながら、あなたみたいな父親がそばにいるより、はるかにいいです。

 

彼を覆っていたたくさんの仮面たち。それが全部剥がれた今は、ただただ醜いだけの顔がそこにありました。

 

 

「母」と「息子」

 

やっと私が本気だと気付いた夫は、思った通りの行動に出ました。

自分の母親に連絡したのです。

 

四国から義母が飛んできました。

 

想定内でしたので、彼女と夫と三人で家で会いました。

 

浮気が原因。それをわかっているはずの義母の開口一番は忘れられません。

 

「ゆりさん、あなたにも責任があるんじゃない!?」

 

え?

 

「あなたが息子のことほったらかしているからこんなことになったんでしょ?」

 

でた。さみしいから浮気する説。

 

「いくら子どもが可愛くたって、旦那さんの世話くらい出来るでしょ?なんでもっと旦那さんを大切にしないわけ?それで、ちょっと浮気されたからってギャーギャー騒いで離婚だなんて。恥ずかしいと思わないの?」

 

恥ずかしいのはあなたの息子さんなのでは?

というか、妻は都合のいい家政婦ですか?

 

横で夫がにっこりと言いました。

「母さん言い過ぎだよ。ゆりはちょっと拗ねているだけなんだから。冷静になればきっと謝ってくるから。あんまり責めないであげて。」

 

は?私が謝るの?誰に?なんで?

私は極めて冷静ですけど。

 

二人のやりとりは茶番劇のようで、この人たちとまともに話し合うことは不可能だと、すぐに悟りました。

もはや怒りも感じません。

 

義母としては、当然ながら、息子である夫の前では母の仮面を被っています。

その仮面がとても激しくゆがんでいるだけなのでしょう。

それをこの家族は全員、正しい愛だと信じて疑わなかったのでしょう。

 

今日はここに泊まると、なんだかはしゃいでいるようにも見える義母を無視して、家を出ました。

 

歩きながらすぐに知り合いのドクターに連絡して、弁護士を紹介してもらいました。

もう茶番に付き合うのはまっぴらです。

 

 

「金銭的自立」と「離婚協議書」

 

紹介していただいた女性の弁護士は、大変親身になって相談に乗ってくださって、正式に契約をしました。

看護師時代の貯金があるので、これくらいの出費はなんの心配もありません。

 

それにしても、離婚を決意してからは改めて、金銭的に自立していることの重要性を日々痛感しました。

妊娠した時、仕事を続けるかどうか、もっと夫と話し合うべきでした。

こんなことになって初めて気付いた自分も情けないですが、今はただ前に向かって進むのみ、です。

後ろばかり見ていたら、守るものも守れない。

だって私は母親だから。

もう一度自分に言い聞かせました。

 

 

夫への連絡はすべて弁護士にお任せしました。

「ものすごく人当たりのいい方ですが、ものすごく何も考えていませんね。」という弁護士の鋭い感想には、ちょっと笑いました。

 

もちろん、夫はすぐに離婚に応じてくれるわけもありません。

あれからずっと家に住み込んでいる義母と一緒に、いまだに私が目を覚まして戻ってくると信じているようです。

 

弁護士の勧めで、離婚協議書を書き進めることにしました。

離婚協議書とは、慰謝料や財産分与、養育費、親権などを決めて公的な書類として取り交わすものです。

でも基本的に双方の同意がないと成立しないので、まずは私の方の条件などをまとめました。

彼にはそれなりの収入がありますが(あの満面の笑顔の仮面は、営業マンとして最適なようです)、私はもうお金にこだわって揉めるよりも、親権さえ得られれば、もうあとは妥協しようという気持ちになっていました。

しかし、彼は一人っ子の上にマザコン野郎なので、彼も義母も、跡取りとして子どもは絶対に手放したくないことでしょう。

 

相手の女性に、不倫慰謝料というものを請求できるということも知りましたが、夫の場合は情けないことに相手が多すぎるし、実際向こうも本当に遊びなんでしょうから、そこは早々に諦めることにしました。

 

そう思うと、他のハードルをうんと下げて、親権の獲得を第一に、慰謝料と養育費は最低限の金額でよしとしました。もうあの家に住みたくもないので、家の権利もいりません。

 

ここに至るまでで三か月が過ぎていたので、私は子どもたちを母にお願いして、仕事に復帰しました。

事情を呑み込んでくださっている先方のご厚意で、夜勤なしの短時間勤務からのスタートでした。

久しぶりの職場は緊張しましたが、純粋に「働く」という行為が嬉しくてありがたくて、目の回るような忙しい毎日も、全然苦ではありませんでした。

 

信じ難いことですが、私が再就職を始めたことでやっと、夫も義母も私の本気を悟ったようです。

さすが鈍感マザコン親子です。

そして相手も弁護士を付けてきました。

 

ついに、具体的な金額を記入した離婚協議書を持って、私と夫と義母、そして双方の弁護士で話し合うところまでこぎつけることが出来ました。

家を出てから半年が過ぎていました。

 

 

そこで想像もしなかったことが夫側から提示されました。

 

 

「話し合い」と「新しい仮面」

 

何度も繰り返しますが、私が欲しいのは親権だけです。他は何を失ってもいい。

子どもたちと一緒に暮らせれば何もいらない。

 

だから、夫側から、跡取りを理由に親権を譲らない、と言われた時のためにたくさんの策を練って臨みました。

 

話し合いの席に着いたとき、夫は珍しくうつむいていましたが、義母は威嚇するかのようにこちらをまっすぐに見つめていました。

 

相手の弁護士が、真っ先に私に言いました。

 

「親権をお譲りすれば、あとは本当にこの条件でよろしいのですね?」

 

え?はい、もちろんです。

 

「慰謝料と養育費の金額、そして持ち家の権利放棄、問題ございませんね?」

 

はい。

 

「承知いたしました。旦那様もそれで了解されておりますので、双方の条件を離婚協議書にして、正式に離婚公正証書として公証役場に提出しましょう。同時に離婚届けも役所に提出いたしましょう。」

 

え?

びっくりして私の弁護士と顔を見合わせました。

 

 

すると、向こうの弁護士ではなく義母が喋りだしました。

 

「息子ともよーく相談したんだけどね、ゆりさんと別れたら息子も新しい嫁を見つけないといけないでしょ?そうしたらまた新しい跡継ぎをお嫁さんに産んでもらえばいいから、なまじっか今ゆりさんとの子どもたちを引き取らない方がいいんじゃないか、て結論になったのよ。」

 

は?うちの子どもたちがいたら再婚の妨げですか?

夫の方をみると、相変わらずうつむいて黙り込んでいます。

 

「息子は、そんなのは嫌だとか言っているんだけど、現実的に息子の仕事で子育てなんか出来ないじゃない?私だって四国に帰らないといけないし。弁護士さんとも相談して、これだけのお金で済むのなら、過去は忘れて新しい未来のためにより良い方法を、ということになったの。」

 

すると、ずっとうつむいていた夫が突然立ち上がり叫びました。

 

「僕は子どもたちともゆりとも別れたくない!」

 

…え?

全員が固まりました。

 

「ゆり、やっぱりやり直そうよ。僕は本当に反省しているから。もう悲しませないから。4人でまた暮らそうよ!ごめんね。本当にごめんね。」

そう言って、その場で泣きながら土下座までしたのです。

横では義母が慌てふためいて彼を立ち上がらせようとしています。

 

 

「ね?ゆり、大丈夫だよね?僕たちはまだ大丈夫だよね?」

 

そう下から顔を上げて私に懇願する彼にひとこと言いました。

 

 

「無理。」

 

 

彼にこんな仮面があったことを初めて知りましたが、でも私には、もうそんな仮面は不要でした。

どんなに素晴らしい仮面を被っても、この男の素顔は絶対に変わらない。

いったい何が大丈夫なのか。最後までこの男は何もわかっていない。

 

彼にだって、何度かやり直すチャンスがありました。

 

最初の浮気の時。

義母からの三人目強制手紙の時。

2回目の浮気発覚の時。

私が実家に帰った時。

 

その時に、私が何を求めていて何を言ってほしいか少しでも理解してくれたら、

彼が自分の過去と向き合って真剣に反省してくれたら、

何より自分自身が変わろうとしてくれたら、

私たちはまたやり直せたかもしれない。

 

でも、もう無理。

 

弁護士にそのまま進めてくれるようお願いして、席を立ちました。

義母が夫を抱きかかえて起こそうとする姿が、視界の隅に一瞬映りましたが、なんの感情も湧きませんでした。

 

「Re婚」

 

弁護士と義母に説得され、結局夫は離婚を受け入れました。

離婚を決意してから7か月、息子は3歳と1歳半になっていました。

 

今後の彼と子どもとの面接については、年1回程度としましたが、あえて詳しくは取り決めませんでした。

期待して裏切られるのも嫌だし、でも彼がどうしても会いたいというのならそれを阻止しようとは思いませんでしたので。

私には彼はもう赤の他人ですが、子どもたちの父親であることには変わりありませんから。

 

苗字はすぐに旧姓に戻しました。子どもたちもまだ幼いのですんなりと受け入れてくれました。

離婚したことは説明はしましたが、まだよくわかっていないようです。でも上の子は「ママは前よりたくさん笑っているね!」と言ってくれます。

彼らが何か聞いてきた時は、離婚の理由以外は包み隠さず話すつもりです。

 

1年後、保育園も無事に決まり、3人でアパートに引っ越しました。

いよいよ本当に新しいスタートです。

 

体中に力がみなぎり、エネルギーがふつふつと湧いてくるのを実感しました。

 

私の学んだNLPという心理学に

「すべての行動にはそれを起こさせる肯定的な意図がある。またすべての行動にはその価値を生かせる状況がある」

という言葉があります。

あらゆる行動や経験にはすべて肯定的な意味があります。夫と出会って結婚したことは後悔はしていないし、一時は本当に幸せでした。こんなに愛おしい子どもを授けてくれたことも感謝しています。

 

また、「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」という言葉もあります。

あの時、彼がそれに気付いて彼自身が変わってくれたら…私たちはきっと別れないで済んだでしょう。

 

「未来と自分は変えられる」

こんな当たり前のことを、どうかみなさんも忘れないでください。

 

そして、このブログのタイトルは「Re婚」ですが、Reはもともと「Reply」という意味ではなく、ラテン語で「~について」という意味です。

 

まさに「結婚について」あなたがもう一度真剣に考えるきっかけになってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

 

私の体験談はこれで終わります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

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