こんにちは。ゆりです。
第一章では、夫のカード履歴から浮気が発覚したところまでお伝えしました。
浮気してたんでしょ?
そう問い詰める私に、夫から信じられないひとことが飛び出しました。
「大丈夫、遊びだから。」
浮気していたという事実以上に、このひとことが私の心を打ちのめしました。
「遊び」と「大丈夫」
夫は付き合っている頃からずっとおおらかで細かいことは気にしない人でした。
看護師という仕事柄、生真面目な私とは対照的で、だからこそ、彼といると寛げてリラックスすることが出来ました。
悩んだり迷ったりした時にも、彼と話していると、
「これくらい、ま、いっか」そんな風に思うことが出来ました。
そんな彼とはいえ、まさか浮気が発覚した時に「大丈夫、遊びだから」って・・・
何が大丈夫なの?
遊びなら何してもいいの?
問い詰める私に、夫は
「ごめんね。悪かったとは思っているよ。でも大丈夫だって。向こうも遊びだったしもう会ってないし、ゆりには何も迷惑かけないから。」
とにっこり。
さらにかぶせるように
「僕が一番大切なのは、ゆりと子どもたちだよ。大丈夫。それは絶対ゆるがないから。」
また出た。「大丈夫」。
そして「話はそれだけ?それならもう心配しなくて大丈夫だからね。じゃあ仕事に戻るね。お母さんによろしく。」と出ていこうとしながら、最後にひとこと言いました。
「何度も言わせないでね。大丈夫だから。」
ぞっとするような冷たい声でした。
リビングに佇みながら、しばらく動くことが出来ませんでした。
夫はこんな人間だったのでしょうか?
「性格」と「人格」
先ほども書きましたが、夫の性格はひとことで言えば、おおらか、です。
心配性で慎重な私と違って、なんとかなるさ!と笑い飛ばすおおらかさと明るさが、いつも私を支えてくれました。
結婚前に妊娠が判明した時も、不安で一杯な私を抱きしめて、無条件で喜んで受け入れてくれました。
深夜勤務もある看護師の仕事をどうしようか悩んでいた時も、ゆりなら焦らなくても出産後も仕事に復帰できるよ、と励ましてくれました。
そのおかげで、看護師を一回辞めてリセットする決心が出来ました。
夫のこの性格にずっと助けられてきました。
その感謝の気持ちは今も変わりません。
ただ、夫の性格には助けられましたが、では彼の人格はどうなのかというと、正直、ほんの少しだけ以前から疑問を感じることがありました。
私は看護師ですが、心理学の資格を生かして病院内でカウンセラーとしても働いています。
性格とは、イコール『キャラクター』ですから、その人個人の特性で変わらないもの。
夫の場合は生来の明るさ・おおらかさがこれにあたると思います。
人格とは、イコール『パーソナリティー』ですから、場面によって変化することがあります。
夫はまさに「人格が変わった」という表現がぴったりな状態になる時が、ほんの数回ですが、過去にありました。
激高したり暴れたりするわけではありません。
むしろその逆で、ひどく冷淡になる、とでもいうのでしょうか。
一度目は、彼の後輩が仕事で大失敗をした時でした。
私も何度も一緒に食事をしたことがあるくらい、プライベートでもかわいがっていて、ふたりはとてもいい先輩後輩の関係でした。
その後輩が、大手クライアント相手のプレゼンで、金額の提示を間違えるという大失態をおかし、結局案件を取ることに失敗したのです。
当然、夫も上司として責任を問われました。
心配してその後の処遇を尋ねる私に彼はひとこと言いました。
「大丈夫。やつは切ったから。」
今まで見たことのない冷たい横顔で、ぞっとしたのを覚えています。
しかしその直後には、いつもの穏やかな笑顔の夫でした。まるで何事もなかったように・・・。
そして
「何度も言わせないでね。大丈夫だから。」
そう言った時の夫も、あの時と同じように冷たい横顔でした。
この日は結局、掃除も料理も手を付けられないまま、実家に戻りました。
誰かに相談したいけど、こんな恥ずかしい話、親には話せません。
情けなくて友達にも言えません。
何より、私には、私を待っているかわいい子どもたちがいます。
必死に何事もなかったような顔で実家で過ごし、改めて夫に「ゆっくり話したい」と連絡をしました。
「浮気」と「浮体」
数日後、私は夫とじっくりと話をすることになりました。
いろんな思いを抱えながら実家から家に帰った私を迎えたのは、穏やかな笑顔の夫と、子どもへのたくさんのお土産、そして私の好きなお店のケーキでした。
コーヒーを入れながら、今回は本当に心配かけてごめんね、と謝る夫。
違う。
私は心配なんかしていない。
ものすごく腹が立ってるだけだ。
なぜ浮気なんてしたのか、いつからだったのか、いつ別れたのか、これからどうするつもりなのか。
煮えくり返る気持ちを抑えて冷静に尋ねる私に、夫が言いました。
「ゆり、亡くなった中村勘三郎さんの名言知ってる?」
は?知りませんよ。何それ、今必要なこと?
「浮気と浮体は違う、って話。」
うわたい??何それ?
「浮気というのは気持ちが別の人に行っちゃうことだから、つまりは奥さんより他の人を好きになってしまったということ。浮体というのは、気持ちではなく体が他の人にいっちゃったことなんで、気持ちはちゃんと奥さんにある、ということ。だから、浮体より浮気の方が罪が大きいんじゃないか、って、テレビで語ってたんだ。」
え?
「僕は浮気じゃなくて浮体なんだよね。だってゆりのことは世界で一番好きだから。でも妊娠と出産が続いたから、さみしくてちょっと浮体しちゃっただけなんだ。」
は?・・・・・
「もちろん、反省しているよ。ゆりは大変だったのに、ごめんね。大丈夫、もう二度とこんなことしないから。だってゆりと子どもたちが何よりも大切だとわかっているから。」
また出た。彼の「大丈夫」。
大丈夫か大丈夫じゃないかは、彼ではなく私が決めることなのではないか?
もちろん、この時、私の頭の中には「離婚」の二文字が浮かんでいました。
「浮体」と「反省」
普通に穏やかな笑顔で話し続けている彼の顔を見つめながら、ずっと考えていました。
今まで彼の長所だと思っていたおおらかさは、単に無神経なだけではないのか?
この人とこれからも一緒に暮らせるのか?
無理。
無理に決まっている。
でも・・・
私には、私たちには、何の罪もない子どもたちがいる。
彼の一回の浮気、いや、浮体とやらで、子どもたちから父親を奪っていいのか?
彼が大きなプロジェクトに今取り組んでいて、忙しいのは事実。
家に入れるお金も申し分ない。
深夜まで帰れないのが嘘か本当かは知らないが、とりあえず家にいる時は子どもの世話は喜んでしてくれる。
私の両親にもとても優しい。
人間は反省もするし学習もする。
そうでないと、過ちから一生立ち直ることが出来ない。
夫の後輩は、どんなに反省しても過ちからの挽回のチャンスを与えられなかったのだろう。
彼がされたような、1回の過ちで切り捨てるという行為は、もしかしたら間違っているのではないだろうか。
私は後輩を切り捨てた夫を冷たいと思った。
では、私が夫の1回の過ちを許さないのは冷たくないのか。
「もう二度としない」
そういうのだから、今回は私一人が飲み込んで、彼の過ちを許してあげるのが一番丸く収まるのではないだろうか。
だって私は母親だから。
子どもたちのためには、今は自分ひとりが飲み込んで黙っていればいい。
そしてきっと、夫は反省し学習してくれる。
同じ過ちは犯さない。
大丈夫。
今度は自分で自分に向かって言い聞かせた。
でもその後、結果的に私は離婚した。
浮体だか浮気だかしらないが、どっちにしてもこれは病気みたいなものだ。
きっと一生治らないのだろう。
私は、そんなことに気付くまで、まだしばらくかかってしまった。
このあとのことはまた次回お話いたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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