こんにちは。ゆりです。
お読みいただきありがとうございます。
養育費について前回は、養育費と税金についてお伝えしました。
養育費を払っていると税金が安くなる?控除対象になる可能性は?
今回は、養育費と面会交流(子どもと会う権利)についてのお話です。
「養育費を支払っていないなら、子どもと会う権利はない」という言葉を聞いたことはありませんか?
または、
「養育費を支払っているのに、子どもと会わせてもらえない」
「養育費は要らないから、子どもとは一切会わせない」
なんて話を聞いたことはないでしょうか。
養育費と子どもとの面会は、このようによくセットで語られることが多いです。
でもこれって、法律的に通用する話なのでしょうか?
もし法律的に通用しないとしたら、なぜこのように言われてしまうのでしょうか?
今回は養育費と面会交流の現状を紐解きながら、子どもと会えない親がいま現実的にどう対応したらいいかを考えていきます。
この記事を読むとあなたは次のことが分かります。
- 養育費を支払わないと子どもに会えないのか?
- 子どもとの面会を叶えるために大切なこととは?
- 子どもと面会できない場合の対処法は?
- 面会が認められないケースとは?
養育費を支払わないと子供に会えないのか?
法律的には、養育費の支払いと子どもとの面会(面会交流)はまったく別のものとして扱われます。
養育費と面会交流には関係がありません。
ですから「養育費を支払わないと子どもに会えないのか?」という問いの答えは「いいえ」です。
養育費を払っていてもいなくても、親は子どもと会う権利(面会交流権)があります。
また、子どもと会えていてもいなくても、親は養育費を支払う義務があります。
法律的にはそうなっています。
ただ、感情的な対立がある父母としては納得できない場合もあるでしょう。
「養育費を支払っているのに、もう何年も子どもに会っていない」
「子どもに定期的に会わせているのに、養育費を支払ってくれない」
もしこんな状況になったとしたら、日本の法律は理不尽だと思う気持ちは理解できます。
しかし、私たち親は子どものことを第一に考えるべきですよね。
養育費は子どもの生活面を支え、面会交流は子どもの精神面を支えます。
どちらか一方が欠けたとして、さらにもう一方も欠けてしまったら、子どもを取り巻く環境は過酷を極めます。
ですから日本の法律では、養育費と面会交流を分離して考えているのです。
ちなみに面会交流権が民法で規定されたのは2012年です。
この頃から離婚届の書式が一部変更になり、養育費と面会交流についてチェック欄が設けられました。
離れて暮らす親と子どもとの面会が重要視されるようになったのは、比較的最近のことだと言えます。
人間の行動は感情に左右される
養育費と面会交流の法律的な解釈はお伝えしました。
でも、そうとは理解していても、人間の行動はどうしても感情に左右されるものです。
夫婦二人で離婚の話し合いをしたときに子どもとの面会を約束したのに守られないという話は少なくありません。
なぜ、そうなると思いますか?
ひとつの仮説ですが、私なりに考えてみました。
離婚したくないあなたとしては、長期間子どもと会えないなんて耐えられませんよね。
これからどうなるか不安なあなたは、仮に「面会させてくれないなら養育費は支払わない」とパートナーに言ってしまったとしましょう。
人の行動は感情に左右されますから、不安から来るあなたのこのような発言は理解できなくはありません。
子どもに会えないまま養育費だけ払うなんて、寂しすぎますよね。
しかし、すでに浮気したことで彼女を裏切っているうえに、経済的に追い詰めるようなことを言うあなたを彼女が許すはずはありません。
養育費は子どものためのお金なのに、それすら何かと引き換えにして「払わない」と言うあなたのことを「父親としても失格」と思うでしょう。
彼女は固く心を閉ざし、一刻も早く離婚することに力を注ぎます。
離婚に向けての話し合いの場でも、表向きは面会を認めるかもしれません。
しかしそれは離婚協議をスムーズに進めて早く離婚するためであって、内心では面会させるつもりなどないこともあり得ます。
そして、離婚が成立。
するとパートナーは当初の計画通り、子どもとの面会を何かと理由をつけて拒否するようになります。
面会交流は、いくら約束して公正証書にしたとしても強制執行(直接強制)はできません。
面会させてもらえない場合に取れる法的手段は色々とありますが、どの方法も「必ず面会できる」とは言い切れないのです。
かたや養育費は、公正証書などの債務名義があれば強制執行ができます。
彼女としてはそれでいいのです。
つまり、パートナーと感情的にすれ違ったまま離婚まで突き進んでしまうと、後々までずっと尾を引いてしまうのです。
離婚が成立した後でも二人で話し合うことができればいいですが、多くの場合は離婚が成立すれば話し合う機会を得ることも難しくなるでしょう。
関係修復の最後のチャンスになるかもしれない離婚前の夫婦の話し合いは非常に重要と言えます。
ちなみに、離婚を考えているパートナーに対して「お金」の話を持ち出して引き止めようとすることは逆効果にしかなりません。
あなたの経済力を離婚回避のために効果的に使う方法は、こちらの記事をご覧ください。
「面会ができないなら、親権を得ればいい」
確かにあなたが親権を得られれば、子どもと会えなくなることはありません。
しかし日本では、圧倒的に母親が親権を得ることが多い現実があります。
親権者であるパートナーが面会を拒否すれば、たとえ父親でも子どもとの面会を強制できません。
離婚後も子どもと継続的に面会したいなら、彼女と良好な関係を築いていくことは必須と言ってもいいと思います。
子どもにとっても、父母がいつまでも争っているよりはずっといい環境ですよね。
離婚すれば経済的に厳しくなると分かっていて、それでも離婚を切り出す彼女の気持ちを理解することがあなたの希望を叶える近道です。
子供に会いたいけど会わせてもらえない!対処法は?
パートナーと良好な関係を保つことが、子どもとの面会をスムーズに実現する一番有効な手段だとご説明しました。
しかし、話し合いがうまくいかなかったり、あなたがいくら話し合おうとしてもパートナーが聞く耳を持ってくれないケースもあるでしょう。
あるいは子どもとの面会について取り決めたにもかかわらず、守ってくれないケースもあるかもしれません。
子どもに会いたいのに会えない親は、泣き寝入りするしかないのでしょうか?
答えは「いいえ」です。
面会交流は子どもの心が健全に成長するために必要なものです。
(あくまでも主役は子どもです)
このことから近年、裁判所は面会交流をとても重要視しています。
そのため子どもに会えない場合にとれる方法がいくつかあります。
面会交流調停を申し立てる
父母で話し合っても合意できなかったり、離婚後に子どもに会わせてもらえない場合は、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることができます。
当事者である父母の間に調停委員が入って、面会の詳細について取り決めを行います。
取り決める主な内容は次の通りです。
- そもそも子どもとの面会を実施するかどうか
- 面会頻度★
- 面会日時★
- 面会時間(何時間か)★
- 面会場所
- 子どもの引き渡し方法★
- 親権者が、子どもと非親権者の面会を妨げないこと★
- その他、祖父母との面会、プレゼントやお小遣い、学校行事への参加、写真や動画の提供等
とても細かいと思いませんか?
子どもはどんどん成長していき、その年齢によって自由になる時間も変わってきます。
ですから大枠だけ決めておいて、詳細は随時話し合いで決めるような取り決めにしたいと思う人もいるかもしれません。
ただその場合、約束が守られなくても相手にペナルティを課すことが難しくなります。
上記の★マークについて取り決めがない調停調書では、間接強制(後述)はできないという裁判所の判断が出ています。
あなたがそれでもいいなら問題はないのですが、おそらくこの調停を申し立てる理由は子どもと面会できない、または離婚協議で決めた面会の約束が守られないからだと思います。
調停に合意した後になって「知らなかった」とならないように注意してください。
先ほど私は、面会交流と養育費に法律的な相互関係はないとお伝えしました。
しかし、養育費を毎月欠かさず支払っていれば父親としての責任をしっかり果たしているわけですから、裁判所の印象はよくなるでしょう。
面会交流調停はパートナーとの話し合いですから、お互いにある程度の譲歩する気持ちや信頼関係がないと成立は難しいです。
養育費を支払わない行為は一番信頼されない行為だと肝に銘じましょう。
また、この調停で家庭裁判所の調査官が子どもの意志を確認したり、あなたと子どもが問題なく面会できるのかどうかシュミレーションのようなことを行う場合もあります。
調停で合意できないと調停不成立となり、自動的に面会交流審判に移行します。
審判は「調停」のような話し合いではなく、調停での調査結果をもとに裁判官が判断を下すことになります。
もしこの判断に納得できない場合は、審判結果の告知から2週間以内であれば不服申し立て(即時抗告)ができ、高等裁判所でもう一度審理ができます。
履行勧告を申し立てる
履行勧告とは、裁判所が約束を守らない相手に対して「調停や審判などで決まった約束を守るように」と勧告することです。
裁判所は勧告する前に、約束を守れない正当な理由があるのかどうか調査を行います。
裁判所から電話や書面などで直接勧告するので、相手にある程度のプレッシャーをかけることができます。
調停調書や審判書など、面会交流について裁判所で作られた書類があれば無料で申し立てることができるので、手段としては手軽で比較的実行しやすいでしょう。
(裁判所で作られた書類が対象なので「公正証書」では履行勧告はできません)
履行勧告に法的な強制力はありませんが、想像以上に効果があったというケースもあります。
ちなみに履行勧告と似た手段として「履行命令」がありますが、面会交流は対象外になっています。
強制執行(間接強制)を申し立てる
実は強制執行には、直接強制と間接強制の2種類の方法があります。
直接強制という手段がとれるのは、対象が「お金(または不動産などの財産)」の場合です。
例えば養育費の場合は対象が「お金」であるため、公正証書や調停調書などの債務名義があれば財産を差し押さえて養育費を強制的に支払わせる「直接強制」が可能です。
養育費の強制執行についてはこちらの記事をご覧ください。
この直接強制を面会交流におきかえて考えると、例えば「裁判所の人間が子どもの住まいからあなたの子どもを連れてきて、あなたに強制的に面会させる」ということになります。
現実的ではありませんね。
そのような場合に「間接強制」という方法があります。
間接強制とは、約束を守らない人に対して、一定期間内に約束を実行しない場合は、そのたびに間接強制金を支払うように裁判所が警告することです。
面会交流に当てはめると、例えば「約束の面会を1回怠るごとに5万円支払いなさい」というような感じです。
間接強制金の金額は収入によって変わるようですが、一般的には5万円~10万円の間で決まることが多いです。
このお金は国庫に入るお金で、あなたに支払われるわけではありません。
また間接強制が行われお金が支払われたとしても、相手が面会に応じなければ会えないままです。
なお、公正証書に面会交流について記載があっても面会交流の場合は債務名義にはなりません。
(公正証書は原則として金銭的なことしか債務名義になりません)
調停や裁判で離婚した場合は調停調書や和解調書などの書類が作成されますが、子どもとの面会について記載がない場合もあります。
このような場合は間接強制はできません。
慰謝料を請求する
調停や裁判で子どもとの面会の約束をしたのに親権者がそれを拒む場合、あなたは精神的にダメージを受けるでしょう。
長期間にわたって会えない状態が続いているなら、ダメージは大きいですよね。
このように精神的に大きな苦痛を受けた場合は、慰謝料を請求することができます。
慰謝料は「相手の不法行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金」です。
慰謝料の相場は個別のケースで様々ですが、数十万円程度が一般的なようです。
ただし、どんな場合でも慰謝料が請求できるわけではありません。
先ほど面会交流調停で決める主な内容を説明しましたが、面会交流の詳細を決めていない状態で慰謝料を請求して棄却された判例があります。
どんなに長い間に子どもと会えていなくてもいきなり慰謝料請求するのではなく、まずは面会交流調停を申し立てるようにという裁判所の方針だと考えられます。
また、面会交流不履行による慰謝料請求の本当の目的は、ほとんどの場合お金ではなく子どもとの面会でしょう。
もう既に離婚が成立している状態で相手にその申し入れや交渉を行うには、第三者である弁護士の方が受け入れてもらいやすいと考えられます。
親権者変更調停を申し立てる
面会交流を拒否し続け、裁判所の警告を無視して間接強制金を支払わないなど、裁判所の決定を軽視する姿勢はあまりにも非常識で「親権者として相応しくない」と判断されても仕方がない対応と言わざるを得ません。
これを理由にすれば親権を変更できる可能性も出てきます。
このようなケースで、実際に親権者の変更が行われた判例もあります。
しかし実際には、一度決まった親権者を変更することは簡単ではないと言われています。
面会交流が認められないケースとは?
面会交流は子どもの福祉のために欠かせないものです。
逆に言うと、面会が子どもの福祉に反すると判断されると認められないケースがあります。
典型的な例としては次のようなケースがあります。
- 子どもに暴力や虐待をする恐れがある。
- 親権者に暴力を振るっていた。
- 面会交流のルールを守らなかったり、子どもを連れ去るなどの問題行動がある。
- 薬物を使用するなど違法行為がある。
- 親同士の対立が激しく、面会時に悪口を吹き込む可能性がある。
- 面会の目的が本来の目的とは違う。相手の現状をさぐる目的など。
- 子どもがある程度の年齢(特に15歳以上)で面会を拒否している。
上記に該当しても、絶対に面会が認められないという訳ではありません。
例えば過去に母親へのDVがあり、恐怖心を強く植え付けられているケースがあります。
母親はこれを理由に面会を拒否しますが、現在は差し迫った危険がないと裁判所が判断し面会を許可することもなくはありません。
ですからもし、過去のあやまちのために「子どもにはもう会えない」と諦めている人がいるなら、どうか希望を捨てないでください。
失った信頼を取り戻す努力があなたを救う
今回のまとめは次の通りです。
- 法律的には養育費を支払っていないからといって、子どもと面会できないわけではない。
- 現実的に子どもとの面会を叶えるには、パートナーの理解と信頼関係の構築が必須。
- 子どもと面会できない場合の法的対処法は次の通り。
[1]面会交流調停の申し立て
[2]履行勧告の申し立て
[3]強制執行(間接強制)の申し立て
[4]慰謝料請求
[5]親権者変更調停の申し立て - 面会が認められないのは「子どもの福祉」に反する場合。主に次のケース。
[1]子どもへの暴力や虐待の可能性がある。
[2]薬物などの違法行為や連れ去りなど問題行動がある。
[3]子どもに親権者の悪口を吹き込むなど、子どもと親権者の関係悪化を促進する。
[4]子どもが面会を拒否している。
近年、同居していない親と子どもとの面会が、子どもの健全な成長に欠かせないという認識が広がってきました。
裁判所の判断も可能な限り面会交流を認める傾向があるようで、法律や社会情勢はあなたにとって有利に働きそうです。
面会交流は基本的に拒否できないものです。
あなたに子どもの利益を損なうような具体的な問題がなければ、当然認められる権利です。
しかし実際は、親権者であるパートナーの協力がなければ成り立ちません。
面会できない親がとれる法的手段は色々ありますが、それが認められたとしても子どもと会えないままの場合もあります。
法律がパートナーの信頼を取り戻してくれるわけではありません。
いくら法律で「養育費と面会交流は別問題」としていても、親の責任である養育費の支払いを放棄してはパートナーの信頼どころか、将来的には子どもの信頼も得られません。
また、面会にかける労力は同居している親の方がはるかに大きいです。
スケジュールを調整し、数日前から子どもに心の準備をさせ、当日は幼子を面会場所まで連れていき、帰ってきたら子どもの心のケアをする。
月に数時間ほどしか子どもと過ごさない人とは、精神的にも肉体的にも負担量が圧倒的に違います。
このようなことをどれだけ理解できるかも、面会交流の実施に大きく関わってきます。
相互理解と信頼関係が築けなければ、子どもとの継続的な面会は非常に難しくなります。
今、もしあなたが離婚に向けた協議をする段階であるなら、非常に重要な局面だと思ってください。
重要なのには、表の理由と裏の理由、ふたつあります。
表の理由は「離婚後も子どもとスムーズに面会できるかどうかが決まるため」、
そして裏の理由は・・・
「離婚回避できるかどうかが決まるため」
です。
それまでパートナーと話すらできない状態であったなら、たとえ離婚に向けた話し合いだとしても、パートナーと向き合って話ができる機会は貴重です。
子どもを愛する気持ちは、夫婦二人に共通する思いです。
自分を勘定に入れず子どもの幸せだけを考えて話し合う中で、次第にパートナーの心がほどけ、気持ちが通じる瞬間があるはずです。
彼女の態度はあなたの態度を映す鏡です。
通じ合えばきっと分かります。
あなたは今、何もかも失いそうでとても怖いでしょう。
許してくれないパートナーと顔を合わせるのも辛いかもしれません。
しかしやり直したいなら、ここで逃げてはいけません。
慎重に行動することと、何も行動しないのとは違います。
彼女が去っていくと分かっていて黙って見ているだけでは、あなたの欲しい未来は手に入りません。
あなたはいま、自分を変えるチャンスの最中にいます。
離婚回避のために努力することは、あなたも家族も、誰も何も失わずに済む一番の方法です。
断言しますが、この努力はあなたの人生において絶対に無駄にはなりません。
どうかもう一度、あなたが家族を守れますように。
変わろうと努力するあなたを、私は応援し続けます。
さて、次回は養育費カテゴリーの最終回です。
離婚した男性の現実や、子どもとの絶縁状態を回避するにはどうしたらいいのかをお伝えしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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